テレビ、ラジオ界だけでなく、たくさんの講演も経験されてきた出光ケイさん。
この度は特別に一時間半にわたってインタビューさせていただきました。
ここでは、伝説のキャスター出光ケイ様ならではの極意を、いくつかのポイントだけご紹介します。

緊張は最低のマナー

PM:
「大勢の人の前で話す時、誰しも緊張すると思いますが、この緊張を克服する方法はありますか。」

出光:
「非日常の会話を演出するということをなさるわけですから、緊張するのは当たり前です。これを閉じ込めないで下さい。
緊張は最低限のマナーなので"緊張してよかった"と自分で誉めてあげてみて下さい。」

緊張は相手に対しての節度と畏敬の念を持っているからこそ起こるものだそうだ。
つまり、緊張を味方につけることで、これからのプレゼンテーションに品格と落ち着きを出すことが出来るとも言える。

実は、出光さんはもともと人前で話すことが苦手だったとのこと。
そんな彼女が控室や舞台袖で出番を待っている時には、緊張のコントロールだけではない独自のマインドセットの方法をお持ちであるという。

これらを是非ビジネスプレゼンテーションの直前に生かしてみてはどうかとのアドバイスをいただいた。

私の過去の失敗の99%は準備不足

PM:
「事前の準備について教えていただけますか。」

出光:
「私もそうなんですが、失敗の99%は準備不足です。」

いかに事前に情報を整理しておくことが必要かを語られた。

出光:
「今の時代とても便利になりましたので、インターネットを活用することはお勧めしたいと思います。ただ、ウィキペディアなども100%ではないので、もう一度別の方法で確認をすることも必要です。」

信頼のおける情報を事前に十分に収集しておくことは、本番のプレゼンテーションの自信にもつながる。

さらに、情報がありすぎても危険だという。

情報を最も有効に使う方法は、十分に収集した上で、いかに取捨選択するかが重要。
話す本人が混乱するだけでなく、伝える内容の主旨が曖昧になってしまうそうだ。
持っている情報を100%伝えようとするよりは、相手がもっと聞きたい、また聞きたいと思う、腹八分目にとどめておく方が効果的とのこと。

様々な相手に対して様々なトピックスでプレゼンテーションしなければならない出光さんだからこそ、多くの失敗や成功例をお持ちだ。
相手の気持ちをつかむための情報活用のポイントなどは、是非ビジネスプレゼンテーションにも取り入れたいと思わせるヒントがたくさん含まれている。

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語りかけるターゲットは3人

PM:
「大勢の人を目の前にすると緊張もピークになります。そんな場合はどうされてますか。」

出光:
「必ず反応の良い方がいます。ターゲットは3人でいいんです。正面、右、左、奥でも手前でもいいですから、その3人を見つけて下さい。その人たちに順番に話す、眼差しを投げることによって各ブロックが見えてきます。だんだん落ち着いて人の気持ちが理解でき、聴衆の反応が見えてきます。」

笑顔の良い人、うなずいてくれる人、目の生きている人、このような人に語りかけることで、氷のように固まっていた自分が少しずつ溶けてくる感覚になれるとのこと。

精神面だけでない。
視線が3つに分散されることで、自分の視界が広がり、相手から堂々として見えるなどの効果もある。

自分らしいプレゼンテーションをするためには、最初にペースをつくることが重要だ。
舞台に上がったら、聴衆の反応をとらえつつ、自分なりのペースに引き込む具体的・実践的な方法を、まだまだ教えていただけそうだ。


つかみは自己紹介の時こそチャンス

PM:
「プレゼンを始める時、相手の心をつかむテクニックはありますか。」

出光:
「大抵は自己紹介から始めますよね。その時、自分の名前にからめてパーソナルな話をするチャンスなんです。」

これから話を聞いてもらおうという時、相手の気持ちをこちらに向かせることができるかどうかで、話の進め方も大きく違ってくる。
話す側も聞く側も、お互い人間同士。
自分のことに興味を持ってもらうことで、聞く側の姿勢が変わるからだ。
そして、その最も効果的なのが最初の自己紹介のタイミングだと、出光さんはいう。

コスモ石油でプレゼンテーションした時の話を聞かせてくれた。

出光:
「出光でございます。ガソリン金アポロと間違えられますが、ガソリンはコスモで入れております。 こんな出光を呼んで下さったコスモ石油さんの勇気にまず感謝いたします。」

どっと会場は盛り上がり、会場全体の関心がこちらに向いた実感があったとのこと。
また、会場との一体感の中で、その後のプレゼンテーションもスムーズに進んだことは言うまでもない。

自己紹介以外にも、相手の心をぐっと引き寄せる効果的なネタは、シチュエーションによって様々だ。
全国各地飛び回っている出光さんの経験は、バリエーションにも豊富で、ビジネスの世界だけでは思いつかない、魅力的なヒントに溢れている。


手のひらを、上に向けて下さい

PM:
「しゃべる時には、どうしても固くなってしまいがちです。そんな時はどうしたらいいでしょうか。」

出光:
「お客様には見えないところで、手のひらを上に向けて下さい。相手に見えない演台の影でいいです。 よく皆さんは手のひらを下にして重ねてしまうから、だんだん固まって肩が亀の甲羅状態になってしまいます。 それを反対にしてみるんです。そうしたら自然と肩の力が抜けてきます。」

実際に実演して見せてくれた。
たしかに、手のひらを下に向けるとかしこまった状態になる。
さらに、両手を握りしめたり、台に手を強く押したりすると、体全体が固くなってしまう。
声は出にくくなり、見た目も力んでいるように見える。

逆に、手のひらを上に向けると、スッと体の力が抜けるのが分かる。
顔の表情まで柔らかくなるのが不思議だ。

PM:
「身体運用と、発声や精神状態は連動しているということなんですね。」

出光:
「おっしゃる通りですね。
身体の力が抜けると自分の心も開いていくということなんです。 私はあなたに伝えたい、私はあなたに気持ちが向いていますという姿勢が、相手に伝わっていきます。」

普段の何気ない一つ一つの姿勢や動作について、ちょっとした工夫や改善をすることで、驚くほどプレゼンテーションのパフォーマンスが変わってくる。

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<出光ケイさんのインタビューを終えて>

1時間半にもなるインタビューでしたが、最初から最後までとても熱心に話して下さり、一言一言が心に残る内容でした。
最初に「さすが」だと思ったのが、オフの時とインタビューが始まって実演して下さる時のスイッチの切り替えです。スイッチが入った時の出光さんのオーラは格別でした。
内容については、すぐにでも本番で活用できるテクニックだけでなく、確実に表現力がアップするトレーニング方法まで、とても盛りだくさんでした。
これがエンターテイメント界で鍛え上げられた表現者の技なのだと改めて感じ、これを是非ビジネスプレゼンテーションにも役立たせたいと思いました。

出光ケイさん、本日はお忙しい中お時間をいただき誠にありがとうございました。



弊社では、エンターテイメント界のエッセンスをビジネス界に注入し、新たな可能性を切り開くことができればと思っております。

一歩踏み込んで本当に相手の心に届くプレゼンテーションテクニックを身につけたい方、大勢の聴衆の前でプレゼンを行う機会の多いエグゼクティブの方など、最高の演出を出せるようにお手伝いいたします。

ここでは出光ケイさんのプレゼンの極意を一部紹介いたしました。
セミナーや研修ではさらに詳しくお話させて頂きます。
マンツーマンレッスンからセミナーなど、目的に応じたプランをご提供いたしますので、お気軽にお問合せ下さい。