我々は変化の最先端で勝負することを誓います

会長菅原の自己陶酔録

”人生黄金律”

第13弾 ボトルキープの法則

「ボトルキープの法則」とは、相手に対し好意を持ち、また会いたいとの意思を先に表明することで、相手からのパフォーマンスをより効果的に引き出すことである。

「ボトルキープの法則」とは、相手に対し好意を持ち、また会いたいとの意思を先に表明することで、相手からのパフォーマンスをより効果的に引き出すことである。

なぜボトルキープをするのか

あなたはこれまでに飲食店などでお酒をボトルで注文した経験があるだろうか? たとえボトルキープしたことのない人でも、居酒屋など大勢で飲む時に、ボトルで注文したことはあるだろう。

ボトルを注文するのには大きく分けて二つのケースがある。 一つ目は、一杯ずつよりもボトルで頼む方が安上がりのため、価格重視でボトルを注文するケースだ。 ちょっとずつよりまとめ買いした方が安くなるボリュームディスカウントのようなもので、「当日、みんなで一本飲みきれること」を前提に注文することがポイントとなる。

たくさん飲むとボトルセットがお得

二つ目は、その店への「先行投資」とまではいかないが、また来ることを前提にお金を「前払い」して、自分のボトルをキープするために注文するケースだ。 当日ボトルを飲みきれないことをわかった上で、それに対してお金を先払いするが、「何回か通うことで一本飲みきること」を前提に注文することがポイントだ。

先行投資ボトルキープ

後者のボトルキープを好む人は、一軒の店だけでなく、自分のテリトリーの中で、お気に入りの店に複数キープしている場合が多い。 ボトルキープしたことのない人や価格重視でボトルを注文する人には、そんなにたくさん飲めるわけでもなのに、何か所にもボトルキープしている人の心理が理解できないかもしれない。 はたして、ボトルキープをすること自体、何か意味があるのだろうか?

ボトルキープは店との契(ちぎり)

店にとって、一杯ずつショットで注文されるよりまるごと一本オーダーしてくれる方が、その時点で仕入れの元が取れるのでありがたい。 その中でも一本飲みきれないことを前提にボトルキープをしてくれる人は、また来店してくれる可能性の高い優良顧客であり、店にとっては当然大切に扱うべきお客様となる。

店側は大事なお客様となると、一般客には気付かれないように、通常にはない特別な料理やサービスを提供したり、また急な予約や混んでいる時にも席を確保してくれたりするなど、わがままや融通を利かせてくれるようになる。 そうなってくると、自分にとって非常に居心地の良い店やサービスとなり、当然その店に通う回数が増えてくる。

「商売人」は「商売人」がわかるため、あうんの呼吸で親密度が増してくるのだ。 これは「切り身の法則」でも触れたが、店側は必ずしも客に対して平等ではないということなのだ。

このことを充分理解している人はボトルキープを好み、いろいろなお店からその恩恵を受けているのである。

ボトルキープは店との契(ちぎり)

初日ボトルキープの効果

ボトルキープはその店に何回か通って、店に馴染んだり店主と仲良くなってからする場合が一般的だ。 しかしこの原理を熟知している人は、初めて訪れた店でも本当に良い店だと思えば、いきなりボトルキープをすることもある。 初日でボトルキープをするということは、店主からするとよほど自分の店を気に入ってくれたという意思表示に受け取るはずだ。 このような有難いお客様に出会うと、感謝や感激の度合いも高く、他の一般客よりも当然強く印象に残る。 その結果、次回来たときもしっかり覚えてくれるし、当然対応も違ってくる。

また、即断する客は、サービスに「慣れている」とか、店や料理・サービスを「見る目がある」と判断され、店主から一目おかれることも事実だ。 要するに、店主は過去の経験から、その人を「太い客」になりそうだと予測するということだ。 そうなると何度も足しげく通って「常連客」にならなくても、すぐにその店の「上客」として扱われることが可能となるのだ。

これはかなり高等テクニックであり、もちろん外した時のリスクも多少伴うが、それなりの投資効果は充分に期待できる。 ボトルキープに慣れてきたら、一度試して欲しいものだ。

ところであなたは「店からどんなお客様に見られているだろうか?」と考えたことはありますか? 下の図の四つのタイプに当てはめて自己分析すると面白いと思う。

あなたは店からどんなお客様に見られているだろうか

ボトルキープはマーキング

ボトルキープを好んでする人は、犬が散歩の途中電柱にマーキングしているように、自分のテリトリーのお気に入りの店にマーキングしているような感覚でいるのだ。

例えば、青山の居酒屋や焼き鳥屋、西麻布の和食や寿司、六本木のクラブやバーなど・・・というように、場所や内容によっていろんな店にボトルキープというマーキングしている。

ボトルキープはマーキング

実際キープしてみるとわかるが、なぜかしらその店に愛着がわき、自分の行きつけの店という感覚が強く出てくる。 また、このようにボトルキープをしている人にお供する機会があると、たしかに一般客からは見えない店主の対応やサービスを受け、他の客より優遇されていることを肌で感じ取ることが出来る。 まさに店側が一般客と異なるサービスをしていることになる理由だが、これは現実的にどの店でもある話なのだ。 またその特別な待遇を店から受けることにより、その人の存在感や器までもが大きく感じられるから、これまた不思議なことである。 もし会食や飲み会をする時、相手より優位な立場でいる方が都合の良い場合は、自分のボトルキープしている店にお連れすると、思った以上の効果を発揮することを覚えておいて欲しい。

ビジネスのボトルキープ

さてここで、ボトルキープをビジネスについて応用してみる。 もしあなたが店のオーナー店主になったと仮定して考えてみよう。 あなたが日常ビジネスをしている中で、

  • あなたにボトルキープをしてくれているお客様はいるのか?
  • いるとしたら、それは誰なのか?
  • また、その人はどうしてボトルキープしてくれているのか?

一方、あなたのお客様でありながら、

  • いつもショットで頼んでくる人は誰なのか?
  • また、どうしてボトルキープしてくれないのか?

などと考えると、自分のビジネススタイルを、今までと違った角度で捉えられるはずだ。

本来は、あなたのお客様が常にボトルをキープし、あなたとの契を交わしてくれる関係が理想だと思う。 そしてそのお客様を大切に思い、誠意を持って接していれば、きっとそのお客様は別の良質なお客様を連れてきてくれる好循環を生み出すはずだ。 自分で集客せずに新規のお客様を紹介して頂けるということは、店をやっていてこんなに有難いことはないのだ。 こうして、ボトルキープしてくれるお客様が増えれば増えるほど、店や自分のビジネスの基盤が安定し、景気や変化に強い理想の経営が出来るようになる。 是非、あなたのビジネスでも応用して考えて欲しい。

最後に、ボトルキープにおいて、陥りやすい罠についても触れる。 お客様が契を交わしてくれたことによる安心感や慣れから、ついつい手を抜いてしまったり、また新規顧客獲得に目を向けてばかりいてサービスがおろそかになってしまうと、そこに敏感な常連客は黙って去って行ってしまう可能性が高い。 コツコツ築いた信頼関係も、気を抜くと一瞬にしてなくなってしまう危険性を秘めている。 つまり店主はいかに常連客が大切な存在なのかという感謝の気持ちを、常に忘れてはいけないということなのだ。

これを読んだら、是非、会社や家の近くのお気に入りの店を探し、ボトルキープをしてみてはいかがだろうか? その時にはあまり金の勘定をしないで思い切ってオーダーしてみて欲しい。 実際、安いボトルでもキープしてみると、店主と自分の気持ちに変化が現れ、今までとは違ったサービスが受けられるはずだ。 但し、大事なことは「オーナーや店主がいる店でボトルキープをその人にすること」が条件だということを忘れてはいけない。