会長菅原の自己陶酔録
第16弾 人生5W1Hの法則
中長期視点に立った自己の思考・行動分析の手法である。
「人生5W1Hの法則」とは、中長期視点に立った自己の思考・行動分析の手法である。
フラット型「5W1H」
社会人になってから「5W1H」という言葉を聞いた人は多いはずだ。
ただ、実際にビジネスでこれを使いこなす人は、会社の中でも限られてくる。
「5W1H」とは、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」という6つの項目をフラットに並べ、やるべきことを洗い出していくマーケティング手法だ。
私は新規事業やプロジェクトに取り掛かる時、この「5W1H」を使い、まず頭を整理しながら全体のバランスと基本線を確認し、同時に抜け・漏れをチェックするなど、ロジカルシンキングをするのに活用させて頂いている。
私の経験から、グランドデザインのように大きな方向性を見わたす時の「All5W1H」と、その中からチームに責任分担した時の「Team5W1H」、またそれを個人に責任分担した時の「My5W1H」と階層別に設定し、それぞれを自責で捉えて5W1Hを使い分けて活用出来るようになると、そのプロジェクトパフォーマンスは飛躍的に向上する。
この「5W1H」を応用し、私なりに人生やビジネスの「ピラミッド型5W1H」を紐解いた。
これから紹介しよう。
ピラミッド型5W1H
私の紐解いた「ピラミッド型5W1H」とは以下の3つのレイヤーに分類される。
- 1st:ベースレイヤー ⇔ 「What×Why」
- 2nd:ミドルレイヤー ⇔ 「Where×Who」
- 3rd:トップレイヤー ⇔ 「When×How」
世の中は予測できない程のスピードで変化し続けているが、以下の解説をステップ通りに実行頂ければ、どんな時でもブレない人生を送って頂けると思う。
1st:ベースレイヤー [What×Why]
まずは人生を生きていく中で、自分は「何を何のためにするんだ」と強く信念を持ち続けることをお薦めする。
そのためには人生を振り返り、本当にこのままでいいのか、間違っていないか、周りに流されていないか?もっと本来やらなければいけないことはないのか?などと、常に自問自答し「自分の信念」をしっかり持たなければならない。
更に、自分はいったい何者だ、何のために生まれてきたのか、何のために仕事をしているんだ、自分の使命は何だなど、深く思考することが重点ポイントになってくる。
「何を」は何となく出てくると思うが、「何のために」と言われると、けっこう考えさせられる。
「何を」を直感で決めるのは悪くないが、常に「何のため」をセットで考えておかないと、却って遠回りをすることがあるのでご注意頂きたい。
このレイヤーは正解のない、しかも自分にしか答えが見つからない世界なので、決して楽しいステップとは言えない。
いっそのこと過去はシャッフルして前だけ向いて進みたいところだが、人生そう甘くはない。
できれば毎日、一日の終わりに心静かに落ちつける場所で、この時間を確保して欲しい。
不思議なことだが、何故かしら生きていることに感謝の気持ちが湧き出てくることを実感されるはずだ。
皆さんの人生の中で、最も重要な思考時間となることには間違いない。
2nd:ミドルレイヤー[Where×Who]
次は「何を何のためにする」の信念のもと、その実現に向け「戦略シナリオ」を立てることが大切だ。
ここでは「どこで誰に」をしっかり選択することが重点ポイントになってくる。
まず「どこで」は、「日本で・海外で」「東京で・地方で」や「この業界で・この会社で」「この場所で・この店で」など自己実現に向け情報収集し、その中から自分に合った場所を選択することが重要になる。
また「誰が」は、「自分でやるのか、他の人に任せるのか」に大きく2つに分かれる。
自分の場合は「誰のもとでか・誰と組むか」、他の人に任せる場合は「適任を探したり・その人にお願いしたり」と、人を「選択する力」が重要になる。
いずれも知恵を絞り理想のシナリオを練ることが要求される。
できれば一日の始まりに頭を集中できる場所で、右脳を働かせる時間を確保して欲しい。
ここでのシナリオの質が、ベースレイヤーの目的実現をするための大部分を担っていると言っても過言ではないと思う。
3rd:トップレイヤー[When×How]
最後は、それを「いつまでにどうやって」実践していくのかを具体的な戦術レベルに落とし、実行しなければならない。
「いつまで」を決めることが先で、ゴールが確定すれば、それを達成するための逆算をしながら、「どうやって」を考えなければいけない。
当然自分でやる場合と他人に任せる場合の「どうやって」は変わってくる。
言い訳せず、納期内にしっかりアウトプットを出し続けることが大切になる。
ここまで来たら、自分の信念を信じ、とにかく思い切ってチャレンジしてみることだ。
当然、やり始めるとシナリオ通りに行かないことが出てくるが、そこは知恵と工夫、努力と根性でやり抜いて欲しい。
但し、自分の立てた戦略シナリオのブラッシュアップ(3rdレイヤー⇔2rdレイヤー)や、その根底にある信念についても、常に自問自答(3rdレイヤー⇔2rdレイヤー⇔1rdレイヤー)を繰り返して頂きたい。
もし、自分の考えが間違っていたり違和感があれば、思い切って自己否定する勇気も必要だ。
そこだけを見ていると一瞬すごく遠回りをするように思えてしまうが、長い人生から見てみると正しい方向に軌道修正することの大切さは理解頂けるはずだ。
氷山にも似た人生5W1H
ここで氷山をイメージして頂きたい。
氷山は、海上の見える部分は全体の中のわずかな一部であり、海中にある部分の方が大きい。
底に行けば行くほど奥が深く潜在化してしまう。
実は人生のピラミッド型5W1Hは、この氷山の構造に良く似ているのだ。
何も意識しないで日常を送ってしまうと、海上に出ているトップレイヤー(When×How)中心の人生で終わってしまう危険性が高いのだ。
もし、この顕在化している、短期的に必要とされる小さな三角形の中で、日々グルグルと同じ思考や行動を繰り返し行ってしまえば、自分の人生まで小さくまとめてしまう可能性が高くなる。
こうしたラットレースにも似た人生のサイクルを送ることは、実にもったいない話である。
そうならないためには、潜在化しているが、中長期的に重要となる人生の大きな三角形を意識し、常に深い部分まで思考する習慣をつけることが大切になるのだ。
理想と現実の人生5W1H
本来は下記左図にあるようなピラミッド型5W1Hが理想のはずだ。
しかし、現実は右側の逆ピラミッド型5W1Hで、一番大事な中長期の人生の方向性やそれを実現するためのシナリオを他の人に任せてしまい、自分はその方針や敷かれたレールに時間を使ってしまうといった具合だ。
この理想と現実の違いを理解していなければ、どうしても他の人から与えられた、地上に出ているわかりやすく、おいしそうな実や果実を採りに行きたくなるのが人間の本能なのだ。
だがしかし、人生5W1Hの本質を理解できれば、”狩る”ことより、まず先に”どの土壌で何の種を植えてどう育てるか”に目が行くはずなのだ。
要するに、一番大切な根や幹の方に自分の時間を充て、そこで実らせた果実は他の人でも採れるようにしておける人生設計にパラダイムシフトすることが、これから先の高いパフォーマンスを導き出すための黄金律と言えるのだ。
人生5W1HとS・A・Rサイクル
人生の5W1Hは、私の提唱する「S・A・Rサイクル」にも連動している。
S・A・Rとは、S=シナリオ、A=アクション、R=レビューのことだが、人生の5W1Hとの相関性は、1stレイヤーがレビュー、2ndレイヤーがシナリオ、3rdレイヤーがアクションとなる。
ここでは詳細説明しないので、是非こちらのコラムを読んで人生の5W1HとSARサイクルを照らし合わせて頂きたい。
今回はかなり重たい話になってしまったが、しっかり本質を理解し、今日からでも実行に移せるかどうかがポイントだと思う。 人生の5W1Hを正しく回すためには、まず日々のSARサイクルを習慣化することをお薦めする。