会長菅原の自己陶酔録
第5弾 海とプールの法則
「海」と「プール」の違いで考えてみよう。
前回の「市場価値の法則」で、市場価値と社内価値の違いを解説させていただいた。
だが、頭の中で理解できたと思っている人も、本質的に何故そうなるのか解らない人が多いようである。
ではここで、実際に具体的な価値基準のズレを体感いただき、さらにその理解を深めてもらおう。
下の図は、マーケットや会社の中を4つのゾーンに分類した人財価値ピラミッドである(図1参照)。
‐質問1‐
さて、いったいあなたは今現在、どこに当てはまるのだろうか?
‐解説‐
- 「海」市場価値
- 業界や会社など関係なくどこに行っても活躍できる希少な人財
- 「湖」業界価値
- 同業界であれば会社が変わっても活躍できる人財
- 「プール」社内価値
- 会社のブランドや信用・信頼などがあれば、なんとかやっていける人材
- 「水たまり?」
- 会社で環境が整っていたとしても、足を引っ張ってしまう人材
ではここで、市場価値と社内価値の違いを、具体的に、「海」と「プール」の違いで考えてみよう。
‐質問2‐
自分が実際に「海」と「プール」を1km泳ぐイメージをしていただきたい(図2参照)。
プールの場合は、スポーツクラブなどで25mプールを20回往復するイメージ、海の場合は、浜辺から向こう岸まで1km泳ぐイメージ。
目を閉じて、自分が泳いでいるイメージを30秒ほど考えて欲しい。
それぞれの違いはどこにあっただろうか。
‐解説‐
一般的なイメージを解説しよう(表1参照)。
「プール」の場合、こう答えた方が多いはずだ。
- 準備運動もほどほどにプールに入る
- プールの下を見れば白線があるので、まっすぐその通りに泳ぎだす
- 途中で疲れたら、ターンのときやコースロープにつかまって休む
- 泳いでいて気になるのは、隣で泳いでいる人や観客
- 本当にダメになったら、その場に立ってしまう
「海」の場合、このような方が多いはずだ。
- いきなり泳ぎだす人はいない→準備運動をしっかりしてから泳ぎだすか、1km泳げるまでプールなどで訓練してから泳ぎだす
- 下を向いても当然、白線はない。方向は景色や太陽を見て自分で決めるしかない
- 途中で疲れても、壁やコースロープは無いため、つかまることも立ち止まることもできない
- 泳いでいて気になるのは波やサメ、あきらめたら真っ逆さまに海の底だ
「プール」で泳ぐ人たちには、強い社内競争原理が働き、結局、「いかにカッコよく他の人よりも早く泳げるのか?」となってしまう。
それを追求すると最終的には、「個人メドレー」で泳げることを目指すようになる。
一方、「海」で泳ぐ人たちには、強い市場生死原理が働き、「いかに安全に向こう岸までたどりつけるか?」が重要になってくる。
それを追求すると最終的には、「船を操縦すること」を目指すようになる。
結果として、「プール」で泳ぐ人たちは、「カッコよく機能性の高い水着やゴーグル」を作り出し、海で泳ぐ人たちは「皆を安全に運べる船」を作り出すのである。
この思考や行動のズレより、社内価値基準(プール)の人たちから市場価値基準(海)の人たちを見ると、「プールの中に船を持ってきて何の役に立つのか?」というふうになってしまう。
また、市場価値基準(海)の人たちから社内価値基準(プール)の人たちを見ると「個人メドレーで本当に海を渡れるつもりか?」となってしまう(図3参照)。
「プール」で泳ぐ人たちは、今日は100m、明日は150mと徐々に距離を伸ばし、最終的に1kmを泳げばよいと思っている。
1kmを泳ぎだすと、いかにカッコよく人よりも早く泳げるかが重要になる。
一方、「海」で泳ぐ人たちは、とにかく向こう岸まで安全にたどり着けるかが重要である。
つまり、「プール」で泳ぐ人たちは日々の「プロセス」を大切にし、「海」で泳ぐ人たち人は常に「結果」を大切にするのである。
この感覚の違いが、人生の大きな差を生み出すのだ。
もしあなたが市場価値の高い人間になりたいのであれば、会社の中でも、常に市場価値基準を意識し、ビジネスを邁進することをお薦めする。
さあ、あなたは、これからの人生において「海」と「プール」どちらを目指すのだろうか。
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